さよならミスター

今夜、ミスターで 初回限定版 (ドラコミックス 236)

今夜、ミスターで 初回限定版 (ドラコミックス 236)

そういえばペーパーの申し込みがまだだった!と思いだしてひさしぶりに読み返しました。
ボーイズ ラブ ですのでお気を付けください。


「今夜、ミスターで」という表題作にまつわるお話が3篇、「さよならミスター」という別のカップルのお話が2篇、そして短いおまけが収録されています。どちらも「Mr.(ミスター)」というゲ イ バーを中心としたお話で、表題作ではバーで働く従業員の知佳くん(あだ名はチカ)、同時収録ではバーのマスターの桃ちゃんがそれぞれ主人公です。表題作はもともと幼馴染である恭平くんが街で偶然出会ったチカくん(実家に音信不通)をどうにか説得して田舎に連れて行こうとするのだけど、チカくんがゲイであることを知って・・・!?というお話です。幼馴染ものらしい甘酸っぱさや、牽制してみたり突き放してみたりするチカくんの臆病さにとてもときめきました。同時収録は暴力的なところがあったり借金を作ったりとダメなところばかりなバーのオーナーの雄大さんが、マスターの桃ちゃんに気持ちを伝えられるまでの過程のお話です。

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どちらもふとした表情や台詞にきゅんとさせられるお話なのですが、わたしは同時収録の「さよならミスター」の方が好きだなあと思います。

時々気まぐれにバーを訪れては桃ちゃんを抱く雄大さん。雄大さんには女性のかげもあって、そんな関係をずるずると4年も続けた桃ちゃんはどこかであきらめて、雄大さんの前では強がってみせる。しかし一方で雄大さんは自分のような男ではいけないと、愛想をつかせばいいのに、と桃ちゃんを突き放す。お互い、相手がいなくなれば号泣してしまうほどに好きで、ふらりと居るはずもない「ふたりの店」だったバーに足を運んでしまうほどに好きで、「借金を支払う」という関係でいいから繋がっていたいと思うほど好きなのに。全ては桃ちゃんの「好き」に応えられなかった雄大さんの弱さが原因で、「ずるい」雄大さんが一途でまっすぐな桃ちゃんを受け止めるにはこれくらいの荒療治が必要だったのだろうな、と思います。
大人なので、打算的な賭けをしてみたり、本音を冗談に隠してみたり、でも、大事なところで何も言えない、そんな不器用なびーえるのキャラクターが大好きなので、このふたりのジタバタっぷりに何度もときめきました。あとがきで嶋二先生がこのふたりのなれそめ話を描きたい、とおっしゃっているのですが、わたしも是非読みたいな〜と思います。

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嶋二先生の「猫の恋」がとても好きだったので、徐々に集めていきたいな〜と思っていたところの2冊目でした。商業では3冊(二次創作を集めたものもいれるともっとかな?)出ていると思うので、もう1冊も買いたいなあ。