彼は若い盛りに、

フラワー・オブ・ライフ 第1巻 (白泉社文庫 よ 4-4)

フラワー・オブ・ライフ 第1巻 (白泉社文庫 よ 4-4)

フラワー・オブ・ライフ 第2巻 (白泉社文庫 よ 4-5)

フラワー・オブ・ライフ 第2巻 (白泉社文庫 よ 4-5)

フラワー・オブ・ライフ 第3巻 (白泉社文庫 よ 4-6)

フラワー・オブ・ライフ 第3巻 (白泉社文庫 よ 4-6)

KiramuneのDVDも届きましたが先にこちらを。ここ数日何かにせきたてられるようによしながさんの作品を買いあさっています。

以下、ネタばれですのでご注意ください。




お話は主人公である花園春太郎が、転校初日にクラスメイトの前で「俺、白血病でした!」と打ち明けるところから始まる。とはいえ内容は重いものではなく、高校生の日常の小ネタをとりあげています。クラスメイトのそれぞれを主役にしたお話があるものの主軸は春太郎と三国の漫画描きライフと、真島とシゲの恋愛におかれています。


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読んでいるとよしながさんの手の上でころころ転がされているような気分になる。というのも、よしながさんの拾うエピソードの着眼点というのが、わたしが普段なんとなく感じているけど言葉にできないわだかまり、というのを見事に漫画のかたちにほぐして表現してくれているからなんだと思います。
1巻の相沢さんとその仲の良い先輩とのエピソードなんかすごく頷ける。ちょっとした意地悪、というのといやがらせ、というのとのさじ加減というのは難しくて、誰しも「これってちょっとした意地悪のつもりなんだろうけど、なんだか悲しいなぁ」と感じた経験ってあるんじゃないかなぁ。

1巻の始めであれだけウマの合わない様子を見せていた春太郎と真島にその後大きな衝突もなく、それどころかむしろ春太郎の日々と真島の日々を接触させないように描かれているようにさえ見えたのは、全部最後のくだりのための演出にさえ思える。相手がそんな真島だからこそ、春太郎が他の誰にも見せない表情を見せていても違和感なく受け止められたのだと思う。

白血病の再発の可能性のことを知り、初めて家族に嘘をついたときの春太郎の表情がなんともいえない。あどけなさがなくなった、青年の顔になっている。絶対的な存在であった人の弱さを知ることは大人になるということなのだろうな。